竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
「陛下に乗ることなど、恐れ多くてできません」
「気にするな。ゴーランよりこちらの方が早い」

 ジェラールは竜王として忙しい身だ。
 そう言われてしまうと、断ることも難しい。

 ミレイナはおずおずとその背によじ登り、跨がった。白銀の鱗は触る自分の体温より少しだけひんやりとして、思いのほか触り心地がよい。

「行くぞ」

 返事する間もなく、体がふわりと浮くような感覚がした。そして急激に地面が遠くなり、代わりに視界が開ける。

「わぁ……」

 始めて見るラングール国の空からの景色は、ただただ壮観だった。

 眼下に広がる王宮を中心に扇状に広がる城下町。そして、背後にはどこまでも森が広がっている。遠方の山の稜線は遥かふもとまではっきりと見え、そこには湖が広がっていた。

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