竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
「凄い。竜人の皆さんはいつもこんな景色を見ているのね……」
「いつもというわけではないな。普段から竜化するのは男だけだ。女は滅多なことでは竜化しない」
「そうなのですか?」

 ミレイナは意外に思った。竜人たるもの、男女問わず竜化すると思っていたのだ。けれど、言われてみれば女性で竜化した竜人を見たことがない。

「あ、だから──」
「どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません」

 ミレイナはジェラールの背に乗ったまま首を振る。ジェラールは少し首を捻ってこちらを見たが、何もいわなかった。

 いつだか、リンダが男性の背に乗せてもらうデートは竜人にとって特別なものだと言っていたのを思い出す。女性は滅多に竜化しないからこそ、二人で空からの景色を見るのはなおさら特別なものなのだろう。

< 257 / 319 >

この作品をシェア

pagetop