竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
(3)小さな天使
ミレイナは自分の足首に巻かれた包帯を見つめ、ため息をつく。
「なんでこんなことに?」
昨晩、 ミレイナはジェラールにより保護されて王宮にとんぼ返りした。
今度は人間として。
魔獣に襲われて負った怪我はジェラールから指示を受けた医師が手当てしてくれた。そして、今は王宮の端にある一室をあてがわれて、そこにいる。
ミレイナは途方に暮れて外を眺めた。
窓から見える庭園は手入れが行き届いており、芝生が敷かれている。
そして、庭園の一角には以前ジェラールの部屋にも飾ってあったロゼッタの花が咲いているのが見える。ロゼッタの花は、前世の世界のハイビスカスによく似ていた。
その合間を、男女が楽しげに歩いている姿が遠目に見えた。二人とも、とても幸せそうな笑顔を浮かべている。
「デートかしら?」
幸せそうな光景に、笑みがこぼれる。
しばらくその光景をぼんやりと眺めていると、背後のドアの向こうから足音が近付いてくるのが聞こえ、ミレイナはドアの方を振り返った。
じっと見守っていると、足跡はドアの前で止まり、トントントンと規則正しいノック音が聞こえる。
「どうぞ」