竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
ラルフはしげしげと目の前の少女を見つめた。
昨日の夜遅く、皇帝であるジェラールが従獣であるゴーランを連れてどこかに出かけた。
そして、深夜にずぶ濡れになってようやく戻ってきたと思ったら、足に怪我をしたこの少女を連れていたのだ。
迷子になったアリスタ国の人間のようだと聞き、ラルフはすぐに魔獣の密猟者であることを疑った。魔獣の毛皮や牙などは、魔力の源になる。
そのため、最近はアリスタ国の密猟者による魔獣の密猟が相次いでいる。
それだけでも問題だが、もっと大きな問題もあった。
竜化した竜人の子供をただの竜だと勘違いして傷付けるケースが出ているのだ。
しかし、密猟者であればたった一人であんなに森の奥深くまで入り込む必要がないし、武器を何も持っていないのもおかしい。
「それを何か証明する術はあるか?」
ラウルにそう聞かれ、ミレイナは途方に暮れた。
証明?
どうやって証明すればいいのだろう。
しばらく考えて、あることに気付く。そういえば、あの日収穫したものを入れた籠を置きっぱなしにしてきた。