竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
ラルフはミレイナの部屋を出ると、その足でジェラールの執務室へと向かった。ジェラールは、北部地域の都市整備計画の書類を確認している最中だった。

「陛下。昨日連れて帰っていらした娘ですが、確かに密猟者には見えませんね。本人は迷子になったと言っていました」

 ジェラールは書類からゆっくりと顔を上げると、ラルフを見返す。

「知っている。昨日もそう言っていた。それで、俺は彼女に会いにいってもいいか?」
「まだだめです。もしかすると、陛下を狙う刺客の可能性もあります」
「武器も持たずに夜中に一人で森で泣いている刺客なんて聞いたことがないがな。しかも、弱そうだ」

 ラルフはジェラールの発言を無視するように話を続けた。

「迷子だった証拠はあるかと聞いたら、国境沿いで魔法石の採集をしていた籠を置きっぱなししてきたと言っていました。念のため、事実かどうか確認してきます」
「俺はその間に会いに行っても?」
「いけません。確認が取れるまで待って下さい」

 ラルフにぴしゃりと言い放つと、ジェラールを見返す。

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