竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
しかし、肝心のララが未だに見つからない。
 フェンリルであるゴーランの鼻のよさは折り紙付きだ。絶対にあの辺りにいたはずなのだ。
 もしかするとあの少女が森で見かけたかもしれないと思い、ジェラールは一刻も早く話を聞きに行きたかった。

 だが、それを話すと自分がもふもふ好きだとラルフにバレてしまう。ラルフは側近というだけでなく、ジェラールの幼いときからの親友でもある。絶対にからかわれる。

 ジェラールはなんの感情も乗せない表情で、ラルフを見返す。

「俺が保護してきたのだから、様子を見に行くのは当然だろう? 魔獣を保護した際も、いつもそうしている。それに、不審な人物であればすぐに罰しなければならない」
「人間は、魔獣ではありせんよ。ところで、彼女は陛下が抱えるか乗せるかして帰ってきたのですか?」

 ジェラールは僅かに眉を寄せた。

「そんなわけないだろう。ゴーランの背に乗せた。なぜそんなことを?」

「彼女から、陛下の気配が強く感じられたので」

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