竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~

 そのとき、ミレイナは遠くからまた足音が近付いてくるのに気が付いた。どことなく、急いでいるような歩調だ。しかも、人の足音と共にもっと大きな何かが近づくような音もした。

(誰か来る?)

 誰が近付いてきたのだろうとミレイナは耳を澄ましていると、足音はミレイナの部屋の前で止まった。ドンドンと荒々しくドアがノックされる。

「どうぞ」

 言い終わるか否やというタイミングで、ドアがバシンと開かれた。

 突然現れたその人物に、ミレイナは驚いた。青味を帯びた銀色の髪、深い青色の瞳、整いすぎて冷淡に見えるその人は、ラングール国の王であるジェラールだった。黒い上質な衣装には、襟や袖に金糸の刺繍飾りがふんだんに施されている。
 そして、後ろにはフェンリルのゴーランを連れていた。

「お前に聞きたいことがある!」

 ツカツカと歩み寄ってきて、ガシリと腕を掴まれてミレイナは恐怖を感じた。
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