竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
「もしかして、陛下は昨晩、ウサギを探してあそこにいらしたのですか?」

 ジェラールは少し居心地が悪そうに視線を彷徨わせたが、はあっと息を吐いた。

「ああ。保護していたウサギがいなくなったんだ。ゴーラン──ここにいるフェンリルは鼻がとても利く。確かにあの辺りにいたはずなのだ」

 そこまでして食べたかったのかと驚きを禁じ得ない。
 だからゴーランはまっすぐにミレイナに向かってきたのかと、ようやく合点した。

「……。ウサギはそんなに美味しくないですよ?」

 ウサギを食べたことは前世も含めて一度もないけれど、そう言ってやんわりとウサギを食べるのは諦めるように誘導する。すると、ジェラールは不本意そうに眉間に皺を寄せた。

「食べるわけがないだろう。保護していたんだ」
「え? 食べないんですか?」

 二人の間に沈黙が落ちる。

(じゃあなんで、『太らせて食べる』なんて言ったの!?)

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