竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
 けれど、リンダはすっかりと怯えてしまってそれを言い出すこともできずにいる上に、ここで『本当の魔獣係は今さっき辞めた』などと言えば、ジェラールの怒りに火に油を注ぐ結果になることは明らかだ。

(なんとかしないとっ!)

 ミレイナは咄嗟に叫ぶ。

「陛下っ!」
「なんだ?」

 ジェラールが低い声で問い返し、じろりとこちらを見る。
 整いすぎた顔だと怒っているときの迫力が五割増しになるのだなと、全く知る必要がない無用の知識が増えた。

 元来怖がりのミレイナは、その冷たい視線に怖じけづきそうになった。
 けれど、せっかく仲良くなって、ミレイナのことを気に掛けてくれたリンダを窮地から救おうと必死だった。
 だって、元はといえば、ミレイナがここに立ち寄ったせいなのだから。

「人にも相性があるように、魔獣にだって相性があります。きっと、今の魔獣係とここで保護されている魔獣は相性が悪かったのです」
「ほう? それで?」

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