竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
 まさかと思って獣舎の脇にある作業場に向かうと、嫌な予感は的中だった。そこには、肉を塩漬けにして干したものがぶら下がっていたのだ。

 更に、誰に食べさせるつもりなのか、塩、こしょうという基本調味料まで置いてある。塩分の全てが悪いとは言わないが、人間と同じ味付けにしたら魔獣達がしょっぱいと感じるのは当たり前だ。

(きっと、生き物を飼う知識が何もないのね。よかれと思ってしたのだろうけど、これはないわ)

 ミレイナはがっくりと項垂れた。
 きっと、これまで魔獣係をしてきたメイド達は肉に味をつけるためにこれらを使っていたのだろう。
 そして、余ったときには傷みにくくするように塩漬けにして干して保管したのだろう。
 だが、竜人と違って普段は野生の生肉を食べてきた魔獣達に、これはない。

(衛生面だけじゃなくて、改革しなきゃいけないところがたくさんね)

 山積する課題に、ミレイナは腕まくりをするとやる気を漲らせたのだった。




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