私のお嬢様
「執事ーー!」

今日もわたしの可愛らしいお嬢様のわたくしを呼ぶ声がする。
急いで駆け寄って、

「如何いたしましたか?お嬢様?」

と自分の整った顔を、遺憾なく発揮し、どうにかわたしのものにできないか魅了するように見上げる。

「この服どう思う?新しく買ったんだけど?」

もちろん似合っているに決まっている。お嬢様の可愛さの前に服も霞んでいるかもしれないが、とても良い生地を使っているようだし、お嬢様の艶やかな肌を傷つけることもない。ただ…露出が多いのではないだろうか…足下の布が薄すぎて透けているし、胸元のレースも薄すぎる…腕と手なんて、覆うものがなにもないではないか…

その気持ちを抑えながら、魅了するような笑顔を心がけて、微笑む。

「もちろん、とてもお似合いです。お嬢様の魅力を遺憾なく発揮できる服を選ばれましたね!さすがお嬢様です。見る目がございますね!」

その答えにお嬢様は満足したようだ。

「当たり前でしょ!わたしに着こなせない服なんてないの!ねー疲れちゃった…お稽古までの間寝かせて…」

と、お嬢様はソファでうとうとしはじめた。

困ったお嬢様だ…わたくしに心を許しすぎている…あまりに無防備で、わたくし以外の前に出すのが不安すぎるな…閉じ込めてしまいたい…いやいけない…お嬢様に嫌われるようなことは絶対にしたくない…というかせっかくのワンピースがシワにならないうちに部屋着に着替えさせなくては…」

「お嬢様失礼いたしますね。」

「ん〜」

これを了承の意ととり、ワンピースを脱がせる。なんて薄い布だろう…こんな布では、お嬢様を守ることなどできない…シワにならないように丁寧に…呼んでいた洗濯係に渡す。メイドに持って来させた部屋着を着せて、後ろのリボンを結ぶ。そして、お嬢様が起きないように抱えて、ベッドへお運びする。
優しく寝かせて、布団をかける。少し顔が和らいだ…
他の使用人が出払ったのを確認して、額に口付けを落とす。お嬢様の額にキスできるのは、わたくしだけだろうと、優越感に浸る。なんて可愛い寝顔だろう…襲ってしまいたくなる…いや、稽古まで二時間くらい、お疲れのようだし、ゆっくり休ませなければ…

「お休みなさいませ…お嬢様…どうかよい夢…できれば…わたくしの夢を…」

と小声で囁いて、部屋の照明を落とした…
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