ゆめ恋。
「あ、おかえりー
みんなトイレ行って俺だけ暇だったよ―」
「……慧、どうしよう」
「え、なにどうしたの?」
「やばいこれ絶対一樹に怒られる!!」
「なになに、なにしたの」
私は席につき、両手で顔を覆って机に肘ついて絶望感をかみしめた。
一樹絶対怒る。確実に怒る。
私を睨んだってことは、絶対断れよって暗示。
それなのに頷いてしまって…
あー!!だって仕方ないじゃん!!
気は強い方…だけど、やっぱり面と向かって「無理」なんて言えないもん!!
しかもちさちゃんとは仲良く付き合ってきたんだもん!!
一番の友達だった子に「無理」なんて言えるわけないじゃん!!
あそこは一樹がきっぱり断ってくれないと絶対無理だったよ!!
「あ、綾那ちゃん…?大丈夫?」
「……慧は私の味方でいてくれるよね?」
「え、うん!もちろん!」
慧のその力強い言葉に、私は顔をあげた。
もうこうなったら頼れるのは慧しかいないもん。
「……慧は、上城千紗って子、知ってる?」
「あー、うん
つっちーのこと大好きな可愛い子でしょ?」
「そうそう、その子。
その子も今日の放課後、一緒に来ることになっちゃって…」
「え!?」
「断りきれなくて…本当どうしよう」
「…ごめん、綾那ちゃん
俺味方してあげられないわ」
「え!」
慧の方を見ると、慧は私ではなくて、私より上に目線がいってて
・・・まさかね?と後ろを振り向くと
「…あ、一樹
お早いお帰りで…」
しっかり一樹が後ろに立っていた。
「…ちょっと来い」