ゆめ恋。
一樹に腕を掴まれ、そのまま私は奥の学習室へと連れ込まれた。
「どういうことだよ。なんで断んねぇんだよ」
「…だって、さすがに面と向かって断るなんてできないんだもん」
「はぁ?お前俺があいつのこと嫌いだって知ってんだろ」
「知ってるけど!!
…でもちさちゃんは前、一番仲の良かった友達なんだもん。
ちさちゃんに私とまた仲良くなりたいって言われたら、断れないよ」
「そんなん、お前を言いくるめるための嘘に決まってんだろ」
「なんでそんなこと言うの!
嘘かどうかなんてわからないじゃん!現に私とちさちゃんは本当にすっごく仲良かったんだから!」
「今この学校でお前と一番仲いいのは俺じゃねぇのかよ!」
えっ…
「俺はお前と友達やってんだろ。
お前と今一番仲いいのは俺だろ。ちげぇのかよ」
「…そう、だけど」
「でもお前は昔一番仲良かったやつをとんのかよ。
仲良かったって言ってももう10年も前の話じゃねぇのかよ。
それでもお前は俺よりあの女を取るのかよ」
…そんなこと言われたって
あの状況で断ることなんてできなかったんだもん。
一樹がちさちゃん嫌ってるのも知ってるよ。
ちさちゃんよりも一樹の方が仲いいと思ってるよ。
でも、あの状況で断ることできなかったんだもん