ゆめ恋。
「とにかく、ちゃんと断っとけよ」
「…どうして、私が断らなきゃいけないの?」
「…は?」
「嫌なのは一樹じゃん。
だったらあの場で一樹が自分で断ればよかったんじゃないの?
自分だけ逃げといて私に押し付けて、私が断れなかったから断れなんてわがままだよ!」
私は、私なりにちゃんと言ってるよ。
協力はできないってちゃんと伝えてあるよ。
それでも、ちさちゃんは一樹と仲良くなるために考えてるんだよ。
私が協力してるわけじゃないんだもん。
それなのに、私のせいにしたりしないでよ…
「ま、まぁまぁまぁまぁ!!」
この気まずい空気の中、慧がこの教室に入ってきた。
「もう先生も来る時間だし、な。
2人とも教室に戻ろうぜ。な!?」
慧がそういうと、一樹は黙って先にこの教室を出て行った。
「綾那ちゃんも戻ろ」
「……慧、私間違ってるかな」
10年も前だけど…一番仲良かった子を毛嫌いすることなんてできない。
一樹のこと、一番仲いいって思ってるし大事だけど、ちさちゃんのことだって信じたいよ、私は…
「……んーん、そんなことないよ。
大事な友達なんでしょ?
つっちーのことは、つっちーが自分でどうにかするよ。
ほら、もう時間ヤバイ!教室戻ろ」
「……うんっ」