ゆめ恋。




教室に戻ると、一樹は自分の席に座っていて、私はまだ一樹の横に座る気分にはなれなくて

「え、慧とどこ行ってたの」

めぐとまいのところに向かった。


「ちょっとそこで会っただけ。どこも行ってないよ」

「ならよかったー。
綾那まで慧に汚されたらどうしようって不安になったよ」

「おいこらめぐ!どういう意味だそれ!」

「うっさい!」


・・・はは、慧の扱いみんな雑…
…でも、慧が来てくれてよかった。慧に助けられちゃったな。


「ねぇ、綾那
今日一樹めっちゃ機嫌悪くない?」

「え?」

「まぁ一樹は基本慧と綾那以外にはいつも話しかけんな感出てるけどね。
でも今日はなんかすっごいイライラしてるよね」


…まぁ、さっき私とケンカしたしね…
しかも放課後はちさちゃんもいるわけだし、機嫌悪くなるよな…


「席つけよー」

「うわ、もう来た」


先生が来たから、私は仕方なく一樹の隣の席へと座った。
…本当、いつもの一樹と違って負のオーラがすごい。話しかけにくいわ…


「綾那」

「……え?」

「悪かったよ」


えっ…!?
い、一樹が謝った…?


「冷静に考えれば、綾那が断る理由なんてないもんな。
今日のとこは我慢する。…今後同じようなことあったら、俺から言うから」

「え、今日はいいの…?」

「もう仕方ねぇだろ。
…それに、あいつのせいで綾那とケンカ状態もちげぇしな」


一樹はそう言って、私にまた優しい笑顔を見せてくれた。


「……へへっ」


私も、一樹とケンカなんてしたくないもん。
ずっと仲良くいたい。一番の友だちだもん。


< 115 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop