ゆめ恋。
翌日、私はいつもの時間にスマホとにらめっこしていた、けど
どうしても、一樹に電話はできなかった。
朝、エレベーター前で一樹に会うのも緊張して…
私はいつもより早く家を出て、早い時間から学校にいた。
「綾那ちゃんおっはよー!」
「あ、慧おはよ」
…でも、現実問題一樹とは隣同士の席なわけで…顔を合わせない、なんてことはできない…
今日学校に来るかどうかはわからない、けど……
「今日は一樹と一緒じゃなかったんだね!」
「えっ、あ、あぁ…うん」
……なんか、もう一樹の名前聞くだけでドキドキする…っ
昨日、あれは私だってわかってて一樹の意思でしたことなのかな……
誰かと間違えた、なんて可能性低いよね…
一樹の好きな人、なんて聞いたことないし、彼女もいないって言ってたし…
あ、でも元カノとかはありえる、のかな
「……ねぇ、慧」
「ん?」
「一樹ってさ、好きな人いるか…わかる?」
「え。…なんでそんなこと聞くの?」
「ちょっと気になって」
腕はがっしり掴まれていた。
…でも、偶然ぶつかっただけってこともあるよね…?
引き寄せた勢いで、って…
……でも、どうして私を引き寄せたの?
「……いるんじゃない?」
「え?」
「つっちーに好きな子。
まぁ俺には言わないけど、たぶん好きなんだと思う。
つっちー、好きな子のことになるといつもと全然違うし」
「え、違う?…どういう風に?」
「んー、よく笑うし、よく喋るし、守ってる」
よく笑うし、よく喋るし、守ってる…?
あの、あんまり笑わない一樹が
あんまり話さない一樹が
…そか、いるんだ、好きな子。
じゃあその子を想像してたのかな。