ゆめ恋。



翌日、私はいつもの時間にスマホとにらめっこしていた、けど
どうしても、一樹に電話はできなかった。

朝、エレベーター前で一樹に会うのも緊張して…
私はいつもより早く家を出て、早い時間から学校にいた。


「綾那ちゃんおっはよー!」

「あ、慧おはよ」


…でも、現実問題一樹とは隣同士の席なわけで…顔を合わせない、なんてことはできない…

今日学校に来るかどうかはわからない、けど……


「今日は一樹と一緒じゃなかったんだね!」

「えっ、あ、あぁ…うん」


……なんか、もう一樹の名前聞くだけでドキドキする…っ

昨日、あれは私だってわかってて一樹の意思でしたことなのかな……
誰かと間違えた、なんて可能性低いよね…
一樹の好きな人、なんて聞いたことないし、彼女もいないって言ってたし…

あ、でも元カノとかはありえる、のかな


「……ねぇ、慧」

「ん?」

「一樹ってさ、好きな人いるか…わかる?」

「え。…なんでそんなこと聞くの?」

「ちょっと気になって」


腕はがっしり掴まれていた。
…でも、偶然ぶつかっただけってこともあるよね…?
引き寄せた勢いで、って…

……でも、どうして私を引き寄せたの?


「……いるんじゃない?」

「え?」

「つっちーに好きな子。
まぁ俺には言わないけど、たぶん好きなんだと思う。
つっちー、好きな子のことになるといつもと全然違うし」

「え、違う?…どういう風に?」

「んー、よく笑うし、よく喋るし、守ってる」


よく笑うし、よく喋るし、守ってる…?

あの、あんまり笑わない一樹が
あんまり話さない一樹が

…そか、いるんだ、好きな子。
じゃあその子を想像してたのかな。


< 140 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop