ゆめ恋。



「あ、噂をすれば」


慧のその声に、私は顔をあげた。
まさか、と思いながらドアの方を見ると、なんとも機嫌の悪そうな一樹が来ていた。


「つっちーおは」

「おう。
…おい、綾那。今日なんで電話しなかったんだよ」

「……ご、ごめん」


ち、近っ…!!
昨日のことが思い出されるじゃんっ…!!


「電話?え、いつも朝電話してんの?」

「い、一樹が毎朝起こせって言うから…」

「……ふーん」


でも、昨日あんなことがあったのに普通に電話かけられるわけないじゃん!!
っていうか今も顔見ると、昨日のこと思い出されるっ…


「ね、今日夕飯も食べてかない?
俺奢るしー」

「え?…あっ」


そ、そうだったっ…!
今日慧と映画に行くんだった!

…っていうか、昨日慧に告白されたんだった…
一樹のキスのせいですっかり忘れてた…


「…2人でどっか行くわけ?」

「そ!今日綾那ちゃんと映画行くんだよねー」

「ふーん
…俺も行こっかな」

「ダメだし!今日は俺と綾那ちゃんのデートなんだから!」

「で、デートって…」


なにその恥ずかしい言い方…っ


「昨日言ったじゃん
俺綾那ちゃんに告ったって。
だから今俺綾那ちゃんにアピってんだから、つっちーは邪魔すんなよなー」

「け、慧っ…!
そんなこと言わなくても…」

「いいじゃん、本当のことなんだからっ」


なんなの、この展開っ…!!
…恥ずかしすぎる…!


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