ゆめ恋。



「綾那」


───ドキン、


「な、なにっ?」


お、落ち着け、私の心臓…
名前呼ばれたくらいで胸高鳴らせてないでよ…


「昨日、ありがとな」

「え、あ…うん
前の日私が夜遅くまで窓開けて喋ってたから…それが悪かったのかなって」

「別に。
俺があのあと窓閉め忘れてただけだし、気にすんな」


最近、夜はいつも一樹と話してる気がする……
毎日必ず窓の外に話しかけて、必ずいつも返事が来る。

一樹も、窓開けててくれるってことだよね…


「…ってか、なんで今日はこっち見ない?」


え…、だって
一樹の顔見たら、昨日のこと思い出されるんだもん

目の前にきた一樹の顔に、暑くなった唇
ぎゅっと掴まれた腕

なにもかもが、蘇ってくるんだもん…


「おい、シカトかよ」

「な、なんでもないからっ…!」


…ってか、一樹は気にしてないってことは
やっぱり覚えてないんだよね…


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