ゆめ恋。



それからも何回も何回も話しかけられたけど、まともに一樹の顔を見れたことは1回もなく、お昼もめぐとまいと一緒に食堂で食べたりして、なんとなく避けまくって

なんとか放課後になった。


「綾那ちゃん、行こ!」

「あ、うん」


…でも、放課後は放課後で…
昨日の今日で慧とうまく話せる自信がないや…

好きって言ってくれたけど
私はなにも言えてないしな…


「綾那ちゃんと2人きりって初めてだ~」

「え、昨日もそうだったじゃん」

「でも!放課後一緒にいるの、初めてじゃん?」

「…そっか、初めてか」


そういえば私、転校してきて学校以外で誰かと一緒にいるの、家族と一樹以外だと初めてだっ…
いつもいつも一樹ばっかりだったな、私…


「転校初日にカラオケ誘ったけど、うまくかわされちゃったしー?」

「だ、だってあれは…
…転校初日でカラオケはハードル高くて」

「はは、そっか。そうだよね。
いきなりカラオケって、俺テキトーすぎた!」


ははっ、と慧は笑ってるけど
あの頃は本当に笑いごとじゃなかったよ。
男子ばっかりに囲まれて、友達できなくて…

慧のことも避けまくってたしな、あの頃は…


それが今じゃ2人で出かけちゃうなんて、私の進歩すごいなぁ…
まだ1週間なんて信じられないや。



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