ゆめ恋。
「け、慧…!」
「ん、ごめんね」
慧はそう言って、私の手を離した。
さっきまで慧の勢いがすごかったけど…今の慧は、すごく落ち着いた表情をしていた。
「気づいた?つっちーのこと好きって」
「……え?」
「綾那ちゃんの恋バナなんて、それしかないもんね」
「え、ど、どうして…」
「綾那ちゃん見てたら誰でもわかるよ」
「え!?」
「さっきだって、俺が抱きしめてんのに目線の先はつっちーだったし」
バレてた、んだ…
「で、好きなんでしょ?つっちーのこと」
う……、
「……正直、まだわかんない。
でも…
…一樹が好きな子いるの、やだ」
やっぱり、一樹が他の子のことが好きなのはいやだ。
一樹が他の女の子を目で追ってるのは見たくないよ。
「…取られたくないから、でしょ?」
取られたくない、か…
…そう、だ。
私は、一樹を誰かに取られるのがいやなんだ。
「……うん、そうみたい」
「ね?
綾那ちゃんは、つっちーのこと好きなんだよ。
いつも隣にいるのが当たり前で、つっちーの隣は綾那ちゃんしかいない。
でももしつっちーが他の子と一緒に歩いてたら
綾那ちゃんはきっとすごく傷つく。
立派な恋だよ」