ゆめ恋。



90分の食べ放題を終え、私たちは帰路についた。


「あー、めっちゃ食べた」

「俺も超食ったわ」


なんか、一樹とは家が隣同士だから、家に着く瞬間まで一緒だから楽しいや。
どこかでバイバイするわけでもなく、一樹んち前で別れても結局部屋でも窓の外だけど話していたりして
私と一樹、毎日何時間話してんだってくらい、話してるよなぁ。


「うわ、超混んでる」


駅に着くと、なんかホームが人だらけだった。
…まぁ、7時だし…みんな帰る時間なんだろうなぁ…


「電車も混んでそうだねー」


そんな話をして数分で電車は到着し、案の定電車の中もパンパンだった。


「俺から離れんなよ」


そう言われ、がっつり腕を掴まれ、私は乗り込んですぐドアがしまった。
…って、いうことで
マンガとかでおなじみの、


「混んでるわー…」

「そ、そうだねっ」


ドアと、好きな人にはさまれた、アレです。
好きな人が、私が潰されないようにドアに腕を付けて、ちゃっかり痴漢からも満員からも守ってくれる、アレです。


「…大丈夫か?」

「う、うんっ…!」


ち、近い…!!
なにこれ、想像以上に近いんだけど…!!
完全に足当たってるし!!
顔がもう、一樹の首元に当たりそう…!!

やばいこれ、やばいって!!

焼肉に負けない、一樹の香水の香りがいつも以上に濃くて
私は、一樹の方を向けなかった。


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