ゆめ恋。
数分して、電車は私たちの最寄り駅へと到着した。
「つっかれたー…」
「あ、一樹
…ありがとね」
想像以上の混雑にぐったりした一樹に、私はお礼を言った。
やっぱり、あんなに混んでたのにそれほど大変ではなかったのは一樹のおかげだから。
「…別に」
ああいうこと、男の人にされたことなかったから素直に嬉しかったよ。
してくれたのが一樹で、もっともっと嬉しかったよ。
「あ、そうだった
ちょい寄り道するわ」
「え、うん」
まだ8時前。
普段から門限は一応21時と決まってるけど
なぜか”お隣の一樹くん”だと
門限が22時まで伸びる。
…なんで、こんな見た目どうしようもないような男に
うちの親は絶対的信頼を置いてるんでしょうかねぇ。
ま、だから寄り道も全然OKなんだけど。
あ、あれか。
絶対に一緒に帰るからか?
他だと途中でバイバイってなって危ないからか?
あ、うん。これだな。絶対これだね。
「…あ、今日は虹色だ」
「え、橋?」
「そ」
駅からそんなに遠くない、小さな川に架かる橋が
キレイに虹色にライトアップされていた。
「これ虹色になんの、レアなんだよ」
「え、そうなの?じゃあ普段は違う色になるの?」
「そ。大抵黄色、たまに赤とか青、みたいな」
「へぇ…そうなんだ」