ゆめ恋。



受け取った書類をカバンにしまい、昇降口で靴に履き替えていると
後ろからもう先生から解放されたのか、土屋くんがきて

さっきまでお礼言わなきゃとか思ってたくせに、私はすぐにその場を立ち去った。


やっぱり、なんかああいう不良っぽい人怖いんだもん…
こっちからお礼とはいえ声かけるのって、怖くて…
というか、私みたいな分際が声かけていいのかなって…

さっき、土屋くんに話しかけてた男子もそこそこちゃらんぽらんな感じだったし…
私みたいな普通の人間と関わりたくないって思ってたら話しかけるのも迷惑な気がするしね…



私はいそいそと足を進める。
…けど、どう考えても土屋くんは私の後ろをずっと歩いてて。

こっちが早歩きだっていうのに、背も高くて足も長い土屋くんには普通の速さなのか、全く距離は開かなくて…


その距離感なまま、私はマンションへと到着した。


エントランスでドアを開けるため鍵をカバンから取り出していると、後ろの自動ドアが開いて
後ろをみたら、なぜかそこには土屋くんが立ってて…


「な、なな…っ!?」


思わず、そんな声を出してしまった。


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