ゆめ恋。



「…あの、また助けてくれますか?」

「お前俺のこと苦手なくせにそういう頼み事はするのかよ」

「に、苦手ってわけでは…っ!」


い、いや…まぁ苦手には苦手なんだけど…っていうか、少し怖い部類なんだけど…
でもなんか、他に頼れる人がいないんだもん…


「…助けてやるけど、でもその前に
その敬語、いい加減外せよ。タメだろ」

「あっ…、なんか無意識に…」


そういえば私、なんで敬語だったんだろ…
それこそ私のキャラと違いすぎだよね…

敬語って。普段、里穂にはガンガン喋ってるくせに…


「そんで、いい加減こっち見ろよ」

「…そう言われると意識して見れない…」


見ろ、なんて言われるとさ…
それって全然自然じゃないんだもん…

しかもなんかエレベーターの中で隣同士に立ってるから、余計に顔とか見るような体制でもないし…


「……ふぇ!?い、いひゃいっ!」


見れずに前ばかり見ていたら、いきなり土屋くんに頬をつねられて
私はその痛みから逃れるために、バッと横に移って

「ほら、見れんじゃん」

私は思わず、頬を押さえながら土屋くんを見ていた。


……あれ、この顔
どこかで……


「……なんだよ、今度は見つめて」


……あ、そうだ

夢のイケメンと、そっくりなんだ…



……でも夢のイケメンの髪の毛は確か黒かった。
こんなに背も高くなかったような…

でも、顔だけは似てる。
雰囲気も似てる。

でもそれ以外はそんなに似てないや…


他人の空似、かな?


「……なんでもないです」

「あ、そ」


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