ゆめ恋。




土屋くんはまた小さなため息を吐いて、かと思えばそこにあったメモになにか書いていた。


「ん。
なんかあったらLINEして来いよ」

「え、いいの?」


紙には、土屋くんの電話番号と、LINEのIDが書かれていた。


「どうせなら朝も起こして」

「…いやいや、自分で起きなよ」

「いつも自分で起きようとして寝坊して遅刻して、結局怒られてる」

「……まぁ別にいいけどさ…
そういうのは普通、彼女にやってもらうんだからね?」

「いねーし、いいじゃん。お前がしてくれるんだったら」


…あ、いないんだ。
こんなかっこいいのにね。


「その代わり、話も聞いてやるし」

「いつも話っていう話はしてないじゃん!」

「でも、こっちにはまだ俺しか話せるやつ、いねぇだろ」


…はい、ごもっともで…


「……でもすぐできるもん!!」

「まぁそうだろうけど。
でもそれでも俺を起こすのは毎日頼むわ」

「…彼女ができるまで、だからね」

「はいはい」

「あ、あと
”お前”って呼ぶの、やめてよねっ」

「は?じゃあなんて呼ぶんだよ」


・・・いや、さっき私のこと都築って呼んでましたよね?
クラスの男子に向かって、私のことを都築って呼んでましたよね?


「…都築でいいですけど」

「綾那って呼ぶわ」

「いやなんで」

「だから俺のことも、一樹って呼べよ」

「……っ、
もう、なんでもいいよ!」



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