ゆめ恋。



***


「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい。
気を付けてね」

「はーい」


朝、いつもの時間に家を出て学校へ向かう。
玄関出てすぐのところを曲がると、前には同じ制服を着た男子がエレベーターへ向かっているのが見えて


「一樹っ!」


私は走って一樹に近づいた。


「おう、はよ」

「おはよー!今日いつもより早くない?」

「誰かさんがいつもより早く起こすから」

「えー!私のせい!?」

「…まぁ、文句言える立場ではねぇけど」


一樹はそう言って、エレベーターのボタンを押した。


「綾那さぁ」

「ん?」

「今日暇?」

「え、うん
なんで?」

「俺んち親今日揃っていないらしくて
俺の夕飯、作ってくんない?」

「はぁー?なんだそれ。
…って、うちもいないんだった」


そういえばお父さんとお母さん、昔の友達と食事に行くって朝言ってたっけ…
私も1人なのかぁ…

それじゃあまぁ…行ってもいっか…


「…ってか、なんで私が作るの」

「だから俺はできねぇから」

「どっか食べ行くとか」

「遅くなると大抵補導されるか変なの絡まれてだるい」

「知らんがな!!」

「まぁ頼むわ。
夕飯代1000円置いてったからこれで」


一樹はそう言って私に1000円差し出した。


「…ったく、仕方ないなぁ…」


まぁいいけどさ。
少しは自分でやればいいのに…
…って、料理できる人と結婚するからいいんでしたね。

結婚できたらいいですけどね!?全く…


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