ゆめ恋。



「綾那ちゃん!
帰りは俺と帰ろうよ!!」

「あー、ごめん
スーパー行く」


なんせ、一樹のご飯を作らないといけないからね。
なんて、慧に言ったらまたうるさそうだから決して言えないんだけどね。
私と仲良くなりたいって気持ちはすごく嬉しいんだけど。



「ちぇーっ
いつになったら俺は綾那ちゃんと遊べるんだ!!」

「また今度あそぼ。ね?」


そんな急がなくても、時間はまだまだたっぷりあるよ。
っていうか、受験生なんだから遊んでばっかではいられないでしょ。


「…うー、かわいい」

「・・・へ?」

「なんでそんなに可愛いんだよー」


か、かわ、かわいい…?
え、私がですか?可愛いですか?

…男子に言われたの、初めて…


ちょっと子供っぽく見えるのかなぁ…?


「ってか今日一時間目から体育とかダル」


一樹はいつものことながらだるそうに、机に突っ伏した。
この人はいつも眠そうだよね、まったく…


「なぁなぁ、綾那ちゃん」

「ん?」

「なんでそんなつっちーと仲いいわけ?」

「え、なんでって言われても…?
というか慧だって一樹と仲いいじゃん」

「いやまぁ俺はね?
でもつっちーって他のやつとは全然話さないじゃん?
めぐとまいともほとんど話さないし、モテるけど彼女は作んないし」

「…まぁ、そんなこと私に聞かれてもわかんないよ」


一樹が仲良くする基準って、よくわかんないよ。
でも確かにみんなと仲良くするようなタイプじゃないよね。

私と話してるときはそうでもないけど、基本的に人付き合いめんどいって態度に出てるし。
本当、まともなのは私と慧くらいで…


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