ゆめ恋。



「一樹、一樹」

「…んだよ」


あれからすぐ先生が来て、朝のHRが始まっているというのに
一樹はずっと机で寝ていた。


「いや、起きなよ。先生来てるよ」

「…綾那が早く起こしたのが悪い」

「いや、いつも寝てるでしょうが」

「うるせぇよ。
ってかなに、わざわざ起こして」

「一樹ってさ、誰かと仲よくするのとかめんどうでしょ」

「あぁ、そうだな」

「んじゃ私と慧はなんでいいの?」


誰かと話すのめんどいタイプ。
誰かになにかを合わせるのもめんどいタイプ。
いちいち他人の機嫌取るのもめんどいタイプ。

だからいちいち仲よくするのとかめんどいのが一樹。

それなのに、知り合ってまだ間もない私と仲よくしてくれるのは、いったいなんなんだろって、私も気になってたんだよね


「別に、不快じゃねぇから?」

「え、じゃあ他の人はみんな不快なの?」

「つーかさ、
友達には利益求めないのが普通だろ」

「あー、そうだね」

「だけど男は男で、俺みたいに荒れてるのと仲よくしときたいみたいなやつ多いんだよな。
自分1人ではなんにもできねぇくせに、俺に近づいて自分強く見せる、みたいな。

そういうのが中学の頃とか、高校入学したときに続いてて
だけど慧はそういうわけでもねぇし。自分1人でも強いけど、なんつーか
あいつは自分のために俺と仲よくしてるわけじゃねぇってわかるから」

「あー、なるほど」


そっか、利害か…
確かに慧って、見た目一樹ほどではないけどなかなかヤンチャしてる見た目で、コミュ能力も高くて
なんとなく、なんでも1人でできそう。


「え、私もそうってこと?」

「綾那は俺にできないことできること多いからなにかと助かるし」

「おい」


おいおいおい。
誰だよ、友達に利益求めないとか言ってたやつ。



< 55 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop