ゆめ恋。



「あのね、里穂!」

「え、うん。なに?」

「だ、大事な話があるの」

「……なにその告白みたいなやつ」


里穂はそんなことを言って茶化しながら、私の前の席に座った。


「…あのね、私
来週引っ越すことになった」

「え!?」

「この学校に来るのも、今日が最後なんだ」

「…い、いやいや
冗談きついって」

「冗談じゃないから!!」


私のその言葉に、里穂は固まった。
真顔のまま、目線だけが下に下がって。


「…本当に?」

「うん。昨日、親に言われたの。
来週、私東京に引っ越すよ。
本当は嫌で、最初納得できなかったんだけどさ…

なんか、親にいろいろ言われて…甘えてる場合じゃなかったの」


お父さんだって、新天地で頑張るんだもん。

私だって、負けてられないよね…


「…そっか。東京か…
……でも、私も卒業したら東京行くから!

どうせ、また一緒だもんね」

「そうだよ!
少しの間だけ離れちゃうけど、私たち志望大学一緒なんだもん!
また春からは一緒だよ!」


だから、それまで少し離れ離れなだけ。
どうせ受験で今なかなか遊んだりもできないし…
学校でも勉強してる時間が増えたから、これからはますます勉強に励めばいいことだもん。

離れたって、絶対友達なんだから


「……ん、わかった。
でも絶対連絡はしてよ?」

「え、当たり前じゃん!毎日するよ!」

「いやいや、勉強しなさいって」


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