ゆめ恋。



その日の放課後、私たちは久しぶりに遊びに出かけた。
普段なら半日で終わる日に遊びに行くなんて絶対しないのにね。

勉強ばっかりだったし
もう、来週にはここを離れなきゃいけないから…今、楽しめることはしたかった。


「ってか新しい学校とかは決まったの?」

「あのねー、先生が電話してくれて、一応受け入れ先は見つけてくれたみたいよ?
理事長同士が知り合いで、私の成績とか学校の推薦状とかのおかげで一応試験ってものはなくなったんだけど
一応向こうに行ってから学校で面接的なのをして、それで正式に決定なんだって」

「へー、そうなんだ。
編入試験がないなんて結構気持ち的に楽だね」

「ね!それだけでもよかったー。
まぁ受験勉強してるから別に不安とかそういうのはあんまりなかったんだけどね。
なんか一応進学校みたいで、校舎がすごいキレイなんだって。
さっき先生がそう言ってたー」


あとは、とにかく引っ越しだけ。
引っ越しの荷物まとめるのと荷ほどきがとにかくしんどいや…


「そういえば綾那って、もともと東京の子だよね。
小2の時に東京から引っ越してきたんでしょ?」

「あ、うん。
あの時も確かお父さんの仕事の都合だったんだよねー
だからまぁ出戻りって感じだけど、あんまり関係ないよね。
もう完全に私は静岡の人だもん」

「まぁそうだろうね」


東京にいたころの記憶なんて全然ない。
静岡に引っ越してきて、新しい学校にすごく緊張してたことは覚えてるけど…

東京にいたころの友達って、本当に仲良かった子くらいしか覚えてないし…
その子も引っ越して完全疎遠になってるから、昔とは違うかもしれないし…


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