ゆめ恋。



私たちは近所のバス停からバスに乗って、最寄り駅からは電車に乗り換えて20分くらい。
日曜日のこの時間帯にこの路線に乗ってる人はほとんどがその遊園地を目的としているから、カップルやら家族連れやら学生の軍団やら…
けっこう電車内は混んでいた。


「…見て、あの2人」

「え、どれ」

「あの、ドアのとこに立ってるカップル。
なんか初々しくて可愛い~」


なんか、まだ付き合いたてって感じ。
可愛い彼女の笑顔にデレデレな彼氏の笑み。

常に楽しそうで、なんか見てるこっちまで笑顔になっちゃう。


「なんかババアみたいだな、綾那」

「はぁ!?うっさいわ!」


・・・それに比べて私らよ。
私らだって知り合ってまだ1か月ちょっとなのに…初々しさどこいった。


「……私らはきっとカップルには見られないんだろうねぇ」


なんか、他のカップルと違う。
かといって、2人だから友達にもあんまり見れないかも…

この人がやたらイケメンだから。


…家族、みたいに見られてそう。
兄と妹、的な。ありえる。


「そうでもないんじゃね?
意外と付き合ってるように見えんのかも」

「えー?そうかなー」

「まぁ初々しさはさすがにねぇけど。
でも何年も付き合ってたらこんな風になるんじゃねぇの?」

「……そうかな?」

「まぁ俺は誰かと何年も付き合ったことないからわかんねぇけど」

「そりゃそうでしょうね」


…でも、そっか。
長く付き合ってれば、いつまでも初々しく、かわいらしく付き合ってたりはしないのか。
本音で物を言って、それでも切れない深い絆が築かれてるんだろうな…


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