ゆめ恋。



───────…


「・・・なんだよ、人の顔ジッと見て」


6時間目も終わり、帰りのHRの時間
私はジーっと一樹の顔を無意識に見ていた。


「…ごめん、無意識に見てたわ」

「なんだ、惚れたのか」

「そうか、これが恋なのか」

「…なに、考え事?」

「んー、一樹のことも意識したら好きになんのかなって思って」

「はぁ?なんだそれ」


…でも実際、こんなイケメンの顔をジー―っとみていられるって
それってやっぱ好きじゃないってことなんじゃないかなぁ?

一樹はやっぱりかっこいいもん。誰もが認めるイケメンよ。
そんなイケメンを恥じらいもなく、照れたりもせず見ていられるって、友達だからこそできることな気がするよ


「んじゃ今日はこれで、解散」


一樹の顔を見ていたらあっという間にHRが終わり、先生は教室から出て行った。

この学校は最後の帰りの挨拶はない。
解散、の一言ですべてが終わる。
それでいいのか、先生よ


「さーてと」

「おい、どこ行くんだよ」

「トイレよ、トーイーレ!」


普通、好意ある異性に対して大声でトイレに行くとか、そんなことは言えないんだろうな。
片思いなら、普通『ちょっと…』とか言って可愛く出て行くんだろうな。


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