ゆめ恋。



トイレから戻ると、一樹はすでに真面目に掃除機をかけていた。


「おぉ、掃除機は使えるんだ」

「バカにしすぎ」


この学校は建て替えたばかりの新築。
教室は全面絨毯になっていて、ほうきじゃなくて掃除機で掃除。

ホワイトボードだから、黒板みたいな掃除もない。


あとはもう、この机を拭くだけ。
机を拭くなんて、前の学校ではなかったなぁ。
前の学校の机は木の机だったし。


「この学校、いつ建ったの?」

「校舎?
俺らが1年の夏休みに完成して、夏休みに呼び出されて引っ越しした」

「え、引っ越し?すご」


校舎の引っ越しって。聞いたことないわ。


「そりゃきれいなわけだ」

「まぁ。その分掃除も大変だけどな」


前の学校の先生から校舎がキレイだって言われてたけど、初めて来たときはびっくりしたもんなぁ。さすが東京!さすが私立!みたいになったもん。


「んじゃ私は机拭きますか」


私は教室にあるファイバータオルを濡らしに行って、机を拭き始めた。
もう黙々と。一樹も黙々と掃除してるしね。


「あ、綾那」

「ん?」

「パンツ見えてる」

「え!?ちょっ…!エッチ!!」

「はぁ?教えてやったんだからちげぇだろ。
スカート短くしてんのに体倒しすぎてる方が悪い」


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