僕が監禁されたのは、幽霊の館でした
『悠真くん。聞こえてる~?今、僕は悠真くんに憑依した。……声が出るはずだよ』

「……あー……あ、ホントだ……」

久しぶりに、声を出すな。

『……僕がいる間は、声が出せるからね。さて……悠真くん。ここは、館の三階の奥にある小さな部屋。この館を出るには、結構な距離がある。地図を共有しよう』

頭に浮かぶのは、この館の景色。大体は道が分かった。

『……君を繋いでる鎖を破壊した。急ごう』

「……分かった……」

僕は立ち上がると、部屋を出る。そして、走り始めた。

「……っ!悪霊が大量に……」

襲いかかってくる悪霊を避けながら、時には陰陽術を放ちながら、1階目指して走る。

「……どこに行くの?」

「……っ!」

1階に降りた瞬間、誰かに声をかけられた。……まずい。美咲だ……。

「逃げ出そうとするなんて……悪い子。ちゃんと、お仕置しなきゃ……」

そう言って、美咲はナイフを取り出す。……怖い。

『怖がったらダメだよ!』

「……もう止めて!僕を解放して!」

「……私のこと、嫌いになった?酷い……こんなに愛してあげたのに……じゃあ、なおさら、お仕置しなきゃね!その口を引き裂いて、二度と喋れないようにしてあげる!」
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