狼くんとの放課後図書室
「す、捨てます多分」
「は?誰かのために作ったんじゃねーの?」
ポーカーフェイスな柳瀬くんが珍しく驚いた顔をする。
「ああ、あの友達のために一緒ついでに作っただけなので。えへ」
頑張って笑顔でこたえてみる。
そんな男の人とあんま話したことないし、どんな顔して話せばいいのかなんてわかんないよー。
「お前ってさ、ほんともったいないよな」
表情は変わらないものの、冷たい声が耳に届く。
「も、もったいない?あ、カエルくんか、」
呆れた顔をする柳瀬くん。
私たちを寂しく太陽が照らす。
広い校庭に違う色のタスキを巻いた2人だけの世界。
「捨てるんなら、もらっていいか?」
表情を変えずに真顔で聞いてくる柳瀬くん。
「え?ええ?」
いや、ここで断るってどういうことなんだろ?
と、いうかそんなことを考えてるのは私だけなのかな?
相手はそんなつもりないだろうし?