狼くんとの放課後図書室


「前髪可愛いよ。」





「わ、私なんかでいいならっよろしくお願いしま
す!」





私がこの、この地味な私がこの生徒会長とっ⁉︎





「よかったー!じゃあ、俺ここからチャリだからまた明日!」





手を振る先輩。私も手を振り返す。





た、高野先輩の彼女になっちゃったよー!






次の日もその次の日も、私の前髪は上がっている。





ゆりたちにメイクを教えてもらって、少しずつでも頑張って可愛くなろうとした。





放課後の図書室は沈黙沈黙。ひたすら沈黙。






帰り道は先輩と少しの時間を過ごした。






そんな日常は繰り返され、時は9月になった。






先輩は受験があるから夏休みは一回も会えなかった。



 

けど、付き合っているという事実があるだけで私の心は満たされていた。





二学期が始まって初めてわたしは教室に入る。





ゆりたちが私に今日も話しかけてくれる。


< 51 / 90 >

この作品をシェア

pagetop