狼くんとの放課後図書室


下駄箱で待っていると、少しずつ色んな部活が終わったのか人がやってくる。




ガタンっ





下駄箱の床がなる音が響くが、それをすぐに雨音が消し去る。





「ごめん待たせた」




制服に着替えた柳瀬くんがくる。





「うん!」





2つの傘が並んでバス停までの短い道のりを歩く。





やっぱり私たちには沈黙が走る。





その沈黙を雨の音が優しく包んでくれる。



  

「なあ、ちょっと寄り道しないか?」





寄り道?





「いいよ!」





バス停を曲がって、私たちはまた歩く。





え?どこに向かってるの⁇





「ねえ、どこいくの?」





「丘だよ」




丘かー。学校帰りに公園寄るなんてなんか–––





「ねえ、私たちって付き合ってるの?」





聞いてから後悔をする。






「あ‼︎いや!そういう意味じゃなくてー…」





もう後の祭りだー。

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