狼くんとの放課後図書室
「あのう、もしよければー。教えてほしいんだ
けど、?」
様子を伺いながら私は柳瀬くんにお願いをする。
また少し沈黙が流れる。
「いいよ」
心なしか少し笑ったような?っていうのは私の都合がいい想像でー。
私の手からシャーペンをとって、私のノートに、書き込んでいく。
スラスラと説明していく柳瀬くん。
字もうまいんだなあー。女子なのにわたしの字の方が男子みたいだなー。
とかいうどうでもいい話し合いが心の中で始まる。
腕まくりをした腕。
動く喉。
揺れる前髪。
その一つ一つにドキドキして頭になんか入ってこないんだけど。
「はい!わかった?」
不意に顔を上げる柳瀬くん。
ち、近いって!