チョコレートとコスモス
振り返るのが怖くて、
真実を知るのが不安で、
…もしかしたら似た声の人間が、偶然そういう行為をしているのではないか。
と自分に言い聞かせる。
女から男の名前はない。
良かった。振り返りさえしなければ、
真実を知ることは無い。
ふう、と一息ついて小走りでsunriseに向かった。
メッセージを送ってから10分後に返信があった。
【ごめん、仕事で少し遅れる。半には着くと思うから。好きなの飲んでて】
ほらね、やっぱり。風じゃない。
疑ってごめんね。と心の中で小さく囁く。
胸のざわつきに蓋をして。