「指輪、探すの手伝ってくれませんか」
どんな言葉なら、彼に、伝わるのだろうか。
「……私も」
「……っ、え、」
答えを見つけるべく、脳みそを一巡させてみる。けれど、そんなのはあってないようなものだ。
「私も、同じです」
ごちゃごちゃした付属の言葉は後でいい。
「終わらせたいなんて、思ってません」
はらはら、ぽたぽた。彼の未だ止まらないそれは一旦横に置いておいて、自分の左手を顔の高さまで持ち上げた。無論、手の甲を彼に向けて小指は少しだけ曲げておく。
「だから、」
そして、左の薬指を、右の人差し指で差した。
「指輪、探すの手伝ってくれませんか」
ー終ー