❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀

『―――御前・・・本当に、彼女に興味があるのか？―――あいつのことは、好きだったけど、吹っ切ったから。安心しろ―――。』
その言葉に、菜緒は睨み付けると、『―――貴方・・・やっぱり、好きだった人・・・いたんじゃない・・・御見合いの時、好きな人・・・いないと言っていたのに・・・此の嘘つき・・・』と叫んだ。彼女は嫉妬深い女性になり、智也の話を聞く事すらできない―――。彼女は―――菜緒は、ずっと大事にされてきているのに、気づいていない。その場から、逃げ去ろうとした―――。彼女はその場から立ち去ると、何処かに言ってしまい、智也は慌てて追いかけようとしていた。
―――あいつ・・・本当に、嫉妬深い・・・奴だったんだ・・・俺は・・・ずっと、お前しか・・・御前しか・・・見えていなかったのに・・・薫は・・・俺じゃなく・・・あいつを・・・
その時、彼女に―――薫に振られた事を思い出し、彼はピタッと足を止めてしまった。自分が、今でも、彼女を好きだと、自覚をしてしまった。薫は小さい頃から、自分にとって、大事な存在だった。だけど、彼女は引っ越してしまい、後を追う事が出来なくなってしまった。北海道に追いかけていきたかったが、生憎、子供だったので、追いかける事が出来ず、お金すらなかった―――。
―――彼女を・・・裏切っているのか？俺は―――
彼女はずっと好きで居たかった。引っ越す前に、そう言ってくれた。それを探しており、易々と、御見合いをしてしまい、今、一人―――傷つけてしまった。菜緒は自分にとって、必要な存在であり、今、彼女なしでは生きられない。そう思っていた、筈なのに―――。だから、どうしたらいいか、分からず、智也はとあるベンチに座り、ぼーっとしていた。
―――俺・・・本当に・・・彼女が・・・好きなのか？