❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀
その時、彼女はグッと口を噛みしめると、菜緒はギュッと拳を握った。彼は怖い顔をしており、彼女を見ようともしない。菜緒はゆっくりと口を噛みしめると、そっと歩き出した。彼女は二人の側に行くと、『―――貴方達・・・私の知らないうちに、何をしていたのかしら?―――私を探してくれていたんじゃないの?』と言った。彼はドキッとすると、『菜緒-――』と呟く―――。自分に必要なのは、どっち?―――貴方にとって、私は何なのかしら?―――どうして、私と結婚したの?―――貴方は・・・私の何なの?―――そう言うと、薫はニヤッと笑って言った。薫はゆっくりと菜緒に近寄ると、パシーンと平手打ちを食らわせた。彼女は頬に痛みが走り、頬を触った。彼女は睨みつけ、『―――貴女・・・私から、この人を・・・奪わないで・・・彼氏なのよ・・・私の・・・裕也は私とは駄目だ―――そう言われてしまったの・・・だから、貴方しかいない。そう言いたかった。』と叫んでいた。智也はその言葉に、『―――黙れ・・・俺は・・・お前に裏切られた。もう一度、会いたかったとは思うが、そんな奴、もう好きじゃない。そう言いたいよ。こいつに―――。』と吐き捨てた。菜緒は無表情になると、無理矢理、智也を連れ出そうとした。ずっと好きだった人から言われるのは、とても悲しい事で、彼女は―――薫は泣いていた―――。
『―――行くわよ・・・貴女が・・・拒否ったのよ・・・だから、もう私たちに・・・関わらないで欲しい―――。』
菜緒は『智也・・・裏切りはなしよ・・・はっきり約束したでしょう?―――浮気はしないって。私は・・・約束を守っているのよ?―――どうして、私に・・・嘘を吐くの?―――酷いわ。』
『―――俺は・・・』
その時、彼女はキスをした。彼は吃驚すると、そのまま受け入れてしまった。
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