❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀
―――
―――あれから、彼女は訳も分からず、警察署に連れていかれてしまい、事故の尋問を受ける事になってしまった。智也と菜緒が生きて居られたのは、とある女性の所為だと思った。彼女は今、泣いていた。彼女はどういう事か分かり、『―――まさか・・・川野麻衣さんの事?』と言った。
『―――そうだ・・・お前達が乗ろうとしていた、代行タクシーに跳ねられて、死亡した―――。これが―――死亡証明書だ―――。』
其の言葉に、菜緒はショックを受けてしまい、確かに、彼女は麻衣の悪口を言っていたようだ。あまり覚えていないが―――。菜緒は泣きながら、『―――確かに・・・憎んでいた時、あります。だけど、殺す事は出来ません。そう言わせて―――。私の所為ではありません―――。』と言う。
智也の姿を見た瞬間、彼女は『―――生きていたのね?良かった。』と涙ぐむ。菜緒は思わず駆け寄ったが、彼の様子が―――可笑しかった。
『ーーーお前・・・誰だ?』
其の言葉に、彼女は吃驚すると、『―――何よ・・・菜緒よ・・・貴方―――私を忘れちゃったの?―――どうして?私を思い出して―――。』
―――この匂い・・・
智也は『―――思いだせない・・・』と言い、そのまま彼女の側から、離れて行ってしまった。菜緒は唖然としてしまい、現実を受け入れられない。
―――智也・・・
どうして?―――
< 197 / 212 >

この作品をシェア

pagetop