❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀

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―――あれから、二三日が経ち、菜緒は退院する事になったが、時々、子供を連れてきながら、彼に会わせようとした。子供達をベビーカーに乗せると、ガラガラ、とベビーカーを押していく。金田美紅という女性は、本当に川野麻衣の実母なのかしら？―――本当に、逮捕するつもりだった、ようで、とても緊張していた。洗濯物を干したり、ペットと子供の世話をしたり、父母が手伝ってくれた。その時、彼女は酒を飲んでいる時の事を、思いだした。
あの時、彼女は―――智也と川野麻衣、らしき女性が、家に入る所を見てしまい、自棄を起こしてしまった。だけど、川野麻衣が死んだ事は、全く知らなかった。智也は知っていたのか？―――。
―――そんな・・・事は、ない・・・か・・・
私・・・智也の様子を見てくる・・・
そう言って、子供達を連れて―――お見舞いに、行こうとしていた。父母達は―――生きていて、良かった。子供と旦那も―――。
其の言葉に、彼女はグッと口を噛みしめると、『―――私・・・彼を・・・頬っておけない。』と言った。菜緒は川野麻衣が死んだというのに、旦那を優先させてしまった。それは人の心であり、誰もが起こりうる事で、菜緒は『―――絶対に・・・助けて・・・思いださせて見せる。』と言う。
―――待ってて・・・
智也―――
生きてて―――