❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀
『―――俺・・・お前と、何処で出会ったんだ?』
『―――お・・・御見合いでよ・・・貴方を選んだのは―――貴方と一緒なら、生きていける―――そう思ったから―――。』
暫くの間、車椅子に乗せて、裏庭に連れて行く事にした。智也と菜緒は、夫婦だ―――。絶対に、彼も―――全て、思いだす筈だ。彼はそこで、パンを齧る事にした。母親が齧ったパンを、自分も食べてみると、智也は『―――結構、旨いな・・・』と言い、彼女は―――期待していた―――。
『―――このパン・・・どうやって作ったんだ?俺にも・・・出来るかな?足の骨、やられているみたいだし・・・』
其の言葉に、『―――出来るわよ・・・』と叫んだ。右足を折ってしまい、智也は痛がっている。
『―――貴方は今、怪我をしたけど、思いだしたら、その間に、骨も治っていると思うわ。』と言う。
其の言葉に、智也はハッと見開いた。一瞬、自分と菜緒が喧嘩した事が蘇ると、ドキッとした。
『―――私ぃ・・・パンも好きだけどぉ・・・ワインも・・・好きなの―――。』
―――貴方・・・私の・・・何を見ているの―――
其の言葉に、『―――菜緒・・・お前、菜緒・・・なのか?』と、智也は問い質した―――。
菜緒はハッと見張ると、『―――貴方・・・私が・・・分かるの?』と、声を張り上げた―――。
『―――菜緒-――御前、生きていたんだな・・・良かった―――。』
―――御前・・・
無事だったのか―――
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