❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀
『―――貴方・・・私が・・・分かるの?』
『―――麻衣は・・・麻衣は、無事なのか?』
其の言葉に、菜緒はショックを受けてしまった。何故、自分の事を―――思いだしてくれないの?―――私、貴方の嫁なのに―――。麻衣は死んでしまった。その言葉に、智也は『―――何ぃぃ?』と、怖い顔で凄んできた。彼は―――智也は―――何で、何で、麻衣が―――どうして、死んでしまったんだ?―――俺の・・・所為か?―――俺が・・・彼氏だったら、死ななかったのか?―――その言葉に、愕然としてしまった。ハッと見張ると、涙がポロポロと零れ落ちて行く。
菜緒は『―――いい加減にしなさいよ・・・』と怒鳴り散らすと、泣きながら、頬を引っ叩いた。
その様子に、智也は唖然としており、『―――な・・・菜緒・・・』と、呼びかけた―――。
『―――貴方と・・・結婚した事・・・ショックだわ・・・可愛い子供まで見捨てるなんて・・・酷い父親よ―――。』
―――帰る―――
彼女は穿き捨てると、そのまま何処かに行ってしまい、智也はそのまま置き去りになってしまった。彼女は速足で車に向うと、其処には―――皆口廉也と、山口薫がいた。どうやら、お見舞いに来てくれたようだ。彼女は山口薫に向って走っていくと、『―――うあぁぁぁ・・・』と泣き叫ぶ。
『―――どうしたの?』
―――私・・・どうしたらいいか、
―――分からない・・・
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