❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀

『―――貴女・・・良い人ね・・・こんなに、良い人だと―――思っていなかった―――。どうして―――兄を選んだの？顔だけじゃないよね？』
川野麻衣は本名であり、名前を変える事は、しなかった―――。2人は喧嘩別れをしてしまい、恋人にすらなれない。恋人でいたかった―――。この菊地智也との出会いは、五年ほど前で、施設で貰った子供であり、今は、彼女は菊地智也の妹である―――。菊地智也を一目見てから好きになり、川野麻衣は彼の名字を名乗りたくない―――彼とは恋人にはなれないから。
その彼女の境遇を知り、菜緒は涙が零れ落ち、ポロポロと涙が止まらなかった―――。
『―――あら・・・貴女・・・私を憐れんでるの？それとも・・・同情？いい加減にしてよ。貴女は私の姉になるの？真っ平よ―――。出て行って―――。この店から出て行って―――。この店―――その内―――私が買い取ってやるから―――。』
パン屋で喧嘩はしては行けない―――。だけど、どうして彼女の境遇を知ると、三角関係を許してしまう―――。彼女はずっと彼を好きだったり、だけど、彼女は彼を止められなかった―――。其れほど、彼を好きだという事でもあるし、彼も妹を大事にしてあげているように見える―――。血は繋がらなくても、自分の妹だ―――。
『―――どうして・・・貴女は・・・彼を止めなかったの？お見合いするのに、どうしてとめ中なかったの？そんなに―――好きなの？』
菜緒ははっきりと問うと、麻衣はじわっと涙を流すと、『―――当り前よ・・・』と吐き捨てた。
『―――私は・・・貴方になんか、負けない―――負ける物か？』
『―――ちょ・・・ちょっとまーーー』