❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀
入院する事になり、その間、彼女は―――菜緒は、ベッドで今までの事を考えていた―――。自分の作るパンが上手くなるように、如何したら良いか、色々と考えていた―――。彼女は何もする気が起きず、どういう事か、彼女は泣いていた―――。パンを作るのに、重要な手をケガしていた。あの時―――今川紗枝の所に行った途端、一度立ち止まり、空を見上げていた―――。そうして、走ろうとしたら、涙が流れて落ちて来て、こけてしまった―――。右腕に皹が入っていた―――。
更に、彼女は声を失ってしまった―――。ストレスの為、彼女は自分の言いたい事が言えなくなった。彼女はいつものように、ぼーっとしていた。どうしても、パンを作ろうとしても、痛くて腕が動かない。彼女はずっと好きだった人と別れたくは無い―――。2人とも―――大好きだ―――。だから、選ぶ事も出来ない―――。2人とも―――お見舞いに来てくれる時があるが、彼女はあまり喋らない―――。どうして、この三人はスッキリできる事がないのか、彼女は全く喋らない。
『―――御前・・・ごめんな・・・俺・・・お前の事・・・好きじゃないのかとは、言っていないんだ。こいつも―――お前の事、好きだと言っているんだ。後は・・・お前自身の気持だ―――。どうして―――自分の気持ちを言えないんだ―――。悔しくはないのか―――』
『―――御前・・・自分自身の事―――好きになってないのか?だから、そんな事を言うんだろ。だから、自分の気持すら―――見えなくなるんだ―――。ずっと好きだったなら、思いを貫き通しなさい。菊地智也の女房だろう―――。』
その時、菊地智也と口づけしたことを思い出し、菜緒はドキッとした―――。どうして、彼女はゆっくり起き上がった―――。菜緒は智也がはずっと好きでもあり、彼女は―――菜緒は泣いていた―――。こんなこと―――している場合ではない―――。
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