君だけが、ずっと好き。
「っ、先輩!私で遊ばないでください!」




そう言って威嚇すると岳先輩は私の頭をポンポン撫でて帰っていった。



(どうしてくれんのよこの空気…!)




「…もう1回だけ聞く。あいつは瑛茉にとってなんなの」




2人の気まずい沈黙を破ったのは伊吹だった。




「由瑛の家庭教師。それ以上でもそれ以下でもないよ…信じて」




伊吹には変な噂じゃなくて、私のことを信じて欲しかった。


私の好きな人は、伊吹だけなんだよ。




「…信じるよ。けど…必要以上にあいつに近づかないで」




伊吹はもう一度私のことを抱きしめた。





きっと、深い意味は無い。

いつもみたいに心配してくれてるだけ。



胸が壊れそうなくらいドキドキしているのに、どこか寂しい気持ちがあった。




(贅沢だなぁ、私。)




いつまでたっても、ないものねだりでわがままなんだ。






「 ── 他の男と仲良くするなんて、気が狂いそう」


そんな伊吹の呟きは、心臓の音にかき消されて私には聞こえなかった。




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