君だけが、ずっと好き。
「……瑛茉」


「伊吹?寝ぼけてるの?」




伊吹の顔を見ると、さっきまで閉じていた目は薄く開いていた。




「なぁ」


「…何」


「なんでアイツについて行ったの」


「…え?」




伊吹は真っ直ぐな目で私を見つめていた。


(起きてるんだよ、ね…?)




「滝沢岳と何してたの」




冷たい視線と低い声に私は声が出なかった。




どうしてそんなに岳先輩を嫌うの?

どうしてそんなに、私に冷たい目を向けるの?



伊吹が…分からない




「…岳先輩は悪い人じゃないよ」


「…あいつの噂、知らないの?」



振り絞った声でそう言うと、背中に回っていた伊吹の腕にさらに力が入った。




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